畑の救急箱

畑の「困った」を写真付きで解決!コメントでの相談など大歓迎です。

畑のダンゴムシは敵?味方?大量発生した時の対処法を解説

ダンゴムシは益虫?害虫??

私の友人からこんな声が寄せられてきました。

「ジャガイモがダンゴムシにやられて全滅した!」

 

僕もはじめ、ダンゴムシが害虫になるとは思っていなかったので、初めは信じていませんでした。

 

ところが下のリンクにもあるように、どうやらダンゴムシが野菜に害を及ぼす事もあるようです。

 

https://agri.mynavi.jp/2020_09_24_132728/#toc-5

 

今回はダンゴムシにやられない為の対処法を考えていきます。

 

 

対策その1:未成熟堆肥を入れない

ダンゴムシは自然界では「分解者」と呼ばれる役割を担っていて、落ち葉などの未分解な有機物が土に還る手伝いをしています。

 

未成熟な堆肥には未分解有機物が大量に含まれており、それをエサだと思ったダンゴムシたちを呼び寄せることになります。

 

もちろん、未成熟堆肥自体にもダンゴムシが付いている可能性があります。

 

腐葉土になる途中の落ち葉も同様で、裏にビッシリダンゴムシが付いているなんて事も…

 

未成熟堆肥は植物自体にも悪影響を及ぼすので、堆肥を購入する場合は品質に注意し、自作する場合は嫌な臭い(アンモニア臭)が無くなり、完熟しているか確かめてから施肥するようにしましょう。

 

 

 

対策その2:過湿を避ける

僕に相談をくれた友人は堆肥自体入れていないという事でした。

 

そんな場合に考えられるのが「過湿」です。

 

ダンゴムシは暗くてジメジメしたところが大好きです。

 

マルチ栽培の場合、光を遮る黒マルチを使い水をあげすぎたりするとすぐに暗くてジメジメした環境の出来上がりです。

 

マルチはそもそも土の渇きを抑える効果があるので、必要以上に水をあげるのは避けましょう。

 

 

対策その3:殺虫剤「デナポン」を使う

 色々試したけど、やっぱりダンゴムシが大量にいる!

 

となったら最終手段、殺虫剤の出番です。

 

僕が調べたところダンゴムシに登録のある農薬はほとんどありませんでした。

 

数少ない薬剤の「デナポン5%ベイト」も、キャベツとハクサイにしか登録がありません。

日農デナポン5%ベイト | 日本農薬株式会社

登録の無い作物には使わないように注意して下さい。

 

まとめ

ダンゴムシが大量発生して被害が出てからでは、対処法はかなり限定されます。

 

ダンゴムシの被害を出さないためには対策その1とその2を徹底して、ダンゴムシが大量発生しにくい環境を整えましょう!

 

このブログでは、作物の「困った〜」を募集しています。

 

農業を始めたばかりの方から、ベテラン農家さんまで色々な方からご意見を頂いています。

 

あなたも是非、気軽にコメント下さい。

【オススメ農薬検索サイト】作物別農薬検索が便利!「農薬インデックス」の使い方

ありそうで無かった農薬検索サイト

「この作物にはどの農薬が使えるんだっけ?」

 

「この作物のこの害虫に効く農薬を教えてほしい!」

なんて事を考えた事はないでしょうか?

 

各メーカーのホームページはそのメーカーの農薬しか載ってないし…

 

農薬ごとに「コレ使えるかな?」なんていちいち調べてられないし…

 

そんなめんどくさい悩みを解決し、メーカーの垣根を取り払って農薬を検索できるのが「農薬インデックス」なのです!

 

農薬インデックス・・・やさしい検索サイト

 

このサイトの何が画期的かというと、作物別・病害虫別に農薬を検索できること。

 

例えば

「ほうれん草のアブラムシに効く農薬が知りたい!」

と思うとするじゃないですか。

 

そうしたらまず、下の画像の「作物の種類をお選びください」のところから、調べたい作物の種類を選択します。

 

f:id:otonachallenge:20210106135047j:image

 

今回調べたいほうれん草は葉菜類なので、「葉菜類」を選びます。

 

作物の種類がわからなくても、作物名だけでも検索が可能です。

 

その場合は選択肢が多くなりますが、「作物名をお選びください」のところから「ほうれんそう」を探して選びます。

 

作物名を選んだら、右側の選択肢から目当ての病害虫を選べます。

 

今回はほうれん草のアブラムシについて調べたいので、真ん中の「害虫名をお選びください」の中から「アブラムシ類」を選択します。

 

f:id:otonachallenge:20210106135246j:image

必要情報を入力するとこんな感じになるので、後は検索ボタンをクリック!

 

検索結果はこんな感じ↓

f:id:otonachallenge:20210106135258p:image

推奨農薬の選び方の基準はわかりませんが、これで

「ほうれん草に登録があって、アブラムシに効果のある農薬」

を検索できました。

 

登録内容は農薬名をクリックすれば出てきますし、そこから販売メーカーのホームページにもアクセスできます。

 

超便利!

 

あなたも早速自分の作物について困っている病害虫・雑草について調べてみましょう!

 

後は各農薬の系統(ネオニコチノイド有機リンなど)が書いてあれば最高なんですが…

 

今後のバージョンアップに期待ですね。

 

この農薬インデックスを運営しているのはなんとボランティア!

 

その精神に賛辞を!

 

是非今後も農家のために運営・更新を続けていって下さい。

 

 

 

 

僕も微力ながら農業のお手伝いをしたいと思っています。

 

あなたの農業現場での「困った」を聞かせて下さい。

 

コメントしていただければ、できる範囲で解決策をご提案させていただきます!

【プロ農家向け】コナジラミ対策プログラムで黄化葉巻しよう!【トマト・ミニトマト】

トマト栽培で最も厄介な害虫とも言うべき「タバココナジラミ」。

 

僕がトマト農家さんから聞かれる質問のNo.1が、

「コナジラミに効く薬って何がある?」

です。

 

今回はそんなコナジラミを防除するのに、安価な薬剤も織り交ぜて要点をご紹介します。

 

コナジラミの詳しい生態はこちら↓

https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/nosose/byobo/boujosidou/byougaityuukannrennjouhou/documents/yh1002tabakokonazirami.pdf

 茨城県が作っている資料です。参考にしてみて下さい。

 

それでは、3つの対策を見ていきましょう〜

 

 

 

対策その1:キレイな苗を植える

まずはコナジラミの卵や幼虫が付いていないキレイな苗を植えるのが大前提。

 

ただ、コナジラミの体長はなんと1mm以下!

 

1,2本植えるだけならいざ知らず、何十本、何百本植える農家さんがいちいち苗に虫が付いているか確認するなんてできるわけありません。

 

そんな時は苗の時から使う殺虫剤がオススメ。

 

苗の間に薬剤を吸い込ませておくことで、植えてから3〜4週間害虫から守ってくれる優れもの。

 

 

薬剤の詳しい説明はこちら↓

ベリマークSC ベリマークSC

 

 

こちらの農薬、希釈がややこしいんですがオススメは16倍希釈で1ポットに50ml灌注するやり方です。

 

100mlのボトル一本でトマト苗1600本分使えます。

 

個人的な感覚ですが、コナジラミを含む様々な害虫のストレスがなくなるのでベリマークを使うと初期の生育が良くなるような感じがします。

 

これを使ってまずは苗からコナジラミの持ち込みを防ぎましょう。

 

対策その2:年内に強力な薬剤でリセット

コナジラミも寒くなると活動が鈍くなり、増殖速度も弱まります。

 

寒くなる前の11月下旬ごろにコルト顆粒水和剤などのコナジラミに効果の高い薬剤を使い、一度コナジラミの密度をガツンと下げてしまいます。

 

日本農薬 コルト顆粒水和剤 100g

日本農薬 コルト顆粒水和剤 100g

  • メディア: Tools & Hardware
 

 薬剤の詳しい説明は↓

www.kumiai-chem.co.jp

 

年内にコナジラミをリセットしてしまったら、暖かくなる3月ごろまでは効果はそれほど高くないけど低価格な農薬でしのぎます。

 

特に気門封鎖剤と呼ばれる薬剤は使用回数制限がなく、薬剤耐性害虫の発生リスクが少ない剤としてオススメです。

https://www.g-agri.rd.pref.gifu.lg.jp/kenkyuseika/seika_H30-4.pdf

こちらは岐阜県の試験事例で、「サンクリスタル」という気門封鎖剤の実用事例です。

 

 

楽天市場で送料含めて最安値です。

 

薬剤の詳しい説明はこちら↓

サンクリスタル乳剤

 

他の作物でも言える事ですが、害虫や病気が出やすい時期というものがあります。

 

その時期に強力な薬剤でカチッと防除する。

 

そのためにそれ以外の時期には強力な薬剤は温存するという作戦です。

 

対策その3:春になったら仕上げ防除

コナジラミの生育適温は25〜30℃で、ハウス内の温度が上がってくる春先に増える速度が早まります。

 

そこで増え始める前に冬を越したコナジラミ達を強力な薬剤で一掃してしまいます。

 

「増えてからやっつけた方が良くない?」

と思いませんか?

 

でも虫が増えるとどうしても取りこぼしが出てくるので、病害虫防除においては「増える前に叩く」が鉄則なのです。

 

前述のコルト顆粒水和剤などの強力な薬剤でコナジラミが少ないうちにやっつけてしまいます。

 

あとは1〜2週間おきにローテーション防除を行い、収穫期間を長くしてたくさん稼ぎましょう!

 

 

 

まとめ

コナジラミ防除に限らず、病害虫対策は「入れない、増やさない」が鉄則です。

 

高価な薬剤も虫が大量発生してからだと効きませんし、農薬代をドブに捨てているようなものです。

 

ポイントを抑えて、コストパフォーマンスの良い対策をしていきましょう!

今年の冬はカメムシが多発生!葉物野菜は要注意!【レタス】

去年の冬が暖冬だったこともあり、今年はカメムシの発生が多いです。

 

そんな中、知り合いのレタス農家さんからこんな写真と相談を頂きました。

 

 「これ何ムシ?なんの薬撒けばいい?」

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正直これ見た瞬間、「気持ち悪っ!」と思いました。

 

コイツらの正体と被害、対処法をお伝えします。

 

 

 

正体は大量発生したカメムシ

昨年の暖冬の影響で、普通なら寒さで死んでしまうはずだったカメムシが生き残りました。

 

そのカメムシたちが大量に子供を産み、その子供達が今年の冬を越そうとレタスに潜り込もうとしているのです!

 

怖っ!

 

一度潜り込まれてしまうと、もうどうしようもありません。

 

「レタスの中に虫が入ってた!」なんてクレームで時間を取られたり、商品価値を下げたくありませんよね。

 

なんとか入り込む前に対策しましょう!

 

対策その1.雑草を刈っておく

まずは圃場内と周囲の雑草を短く刈っておくことで、カメムシの住処を奪います。

 

草刈りが面倒なら、除草剤や抑草剤を使うのもアリです。

 

抑草剤:グラスショート

グラスショート液剤│クミアイ化学工業株式会社

 

ポイントは草を刈るにしても抑草剤を使うにしても、早めにやること。

 

雑草を刈ると住処を奪われたカメムシ達が作物の方に移動します。

 

雑草対策はカメムシが住み着く前にやってしまいましょう。

 

対策その2:トドメの殺虫剤散布

冒頭の写真のように、実際に作物にカメムシが取り付いた段階ではもはや手で取るか殺虫剤を撒くしか対処のしようがありません。

 

殺虫剤としてオススメなのは、アルバリン(スタークル)顆粒水溶剤です。

 

実際にレタスでカメムシの登録はありませんが、アブラムシで登録があるので使用しても問題ありません。

 

2,000倍で収穫3日前までに撒きましょう。

 

できるだけカメムシに直接かかるように撒きましょう。

 

カメムシはレタスを食害するわけではなく、ただ暖かい場所を求めているだけです。

 

 なので薬剤がかかった葉っぱを食べて死ぬ事は期待できません。

 

丁寧に散布し、カメムシにしっかり薬剤がかかるように注意して下さい。

 

まとめ

本来ならレタスでカメムシは問題にならないはずの

 

近年の異常気象で、本来なら付くはずのない作物に付くはずのない虫や病気が付くという話が出てきています。

 

普段付くはずのない虫だと、有効な農薬もなかなかありません。

 

このサイトでは実際に農家さんからの声を元に記事を作っていきます。

 

「いつもならこんな病気見ないのに…」

 

とか

 

「なんだこんな虫は?!初めて見るぞ!」

 

と言った質問があれば是非コメントください。

 

あなたがどんな虫や病気に悩まされてるかがわかれば、きっとお手伝いできると思います。

【プロ農家向け】収穫前日まで使えるオススメ殺虫剤2020【非結球レタス】

少しでも虫がついていようものなら、消費者から敬遠されてしまうレタス類。

 

その中でもロメインレタスやリーフレタスなどの「非結球レタス」に分類される品種は、使える農薬が少なく結球レタスよりも収穫前日数が制限されていることが多いです。

 

そんな非結球レタスにも「収穫前日」まで使える殺虫剤と、比較的収穫前日数が短い剤をご紹介します。

 

 

収穫前日まで使える!「ベネビアOD」

薬剤名:ベネビアOD

 

成分:シアントラニリプロール(ジアミド系)

 

剤型:液剤

 

容量:250ml,500ml

 

主な対象害虫:チョウ目、アブラムシ、アザミウマ、コナジラミなど

 

レタスの主要害虫をほぼカバーしていて、効果も高く収穫前日まで使える非常に優秀な薬剤です。

 

値段が高いのが玉に傷ですが、ホームセンターやJA、ネットでも購入可能なので自分で安く購入できるところを選べます。

 

倍率も2,000〜4,000倍と、薄めて使うことができるので見た目ほどコストもかかりません。

 

ハクサイやキャベツ、もちろんレタスなどの葉物野菜やトマトやキュウリなどの果菜類にも使える点も嬉しい所です。

 

個人的にかなりオススメです。

 

注意点は他の薬剤や液肥などと混用すると薬害が出やすい点です。

 

ラベルやチラシ、メーカーのホームページに注意事項として書かれているのでよく確認してから混用するようにして下さい。

 

 

 

 

こちらもオススメ!収穫前日数が短い薬剤

 

 

 薬剤名:アルバリン(もしくはスタークル)顆粒水溶剤

 

成分:ジノテフラン(ネオニコチノイド系)

 

容量:100g,500g

 

剤型:水和剤

 

主な対象病害虫:アブラムシ、コナジラミ、アザミウ

 

収穫前日数:3日前まで(非結球レタス)

 

収穫前日までとはいきませんが、3日前まで使える薬剤です。

 

こちらも登録作物が多く使いやすいです。

 

ベネビアよりも価格が安く、100gの小型規格があるのも嬉しいところ。

 

ただ、チョウ目害虫にほとんど効果が望めないのでやはりベネビアの方が良い剤かと。

 

売っている店によって「スタークル」だったり「アルバリン」だったりしますが、中身は同じジノテフランで効果も変わりません。

 

値段が安い方を選べば良いかと。

 

続いてのオススメは

グレーシア乳剤 250ml
 

 

薬剤名:グレーシア乳剤

 

成分:フルキサメタミド(新規系統)

 

剤型:液剤

 

容量:250ml,500ml

 

主な対象病害虫:チョウ目、アザミウマ、コナジラミ

 

収穫前日数:3日前まで(非結球レタス)

 

こちらも収穫3日前まで使えるグレーシア乳剤です。

 

昨年発売の新規系統成分で、今までの薬剤が効きづらくなってきた害虫にもテキメンに効果を発揮します。

 

特にオオタバコガやヨトウ類と言ったチョウ目害虫に強く、実際に使用した農家さんの口コミで広がっています。

 

欠点はアブラムシ類には登録がないこと、新しい薬剤なのでベネビア同様価格が高い所ぐらいでしょうか。

 

それ以外は現場の評価はすこぶる良いです。

 

まとめ

現状、非結球レタスで収穫前日まで使える実用的な殺虫剤は「ベネビアOD」が一番ですね。

 

アルバリンやグレーシアも有効な薬剤なので、収穫前日数を含め使用基準を守って正しく防除しましょう!

 

キレイなレタスで市場価値を高めましょう!!

 

当ブログでは畑の相談を受け付けています。

 

コメントなどで病気や害虫の特徴や写真を送っていただければそれをもとに診断し、オススメの対処方法をご紹介いたします。

 

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